AEO / GEO / LLMO 解説 ・ ・ 更新
AI 検索ごとに、情報源はどれだけ違うのか — 一つの GEO を全エンジンへ一般化しない
SILVE 編集部
- 最終検証日:2026年8月13日
- Methodology バージョン:2026.08.55(訂正)
- 本文中の「2026.08.xx」:その訂正を行った判断基準の版の番号です。公開した版は書き換えず、訂正は新しい版として残しています
- 位置づけ:SILVE の測定モデル。業界標準の手順ではありません
- 関連記事:露出を分けて測る / 標本設計と不確かさ / 取得と引用を分ける / Query Fan-out
「AI 検索に強い」には主語が抜けている
「AI に引用されやすい記事を書こう」「GEO 対策をしよう」「AI可視性 を上げよう」。
こうした言い方には、いつも同じものが省略されています。どの AI で、という主語です。
ChatGPT。Google AI Overviews。Google AI Mode。Gemini。Perplexity。これらをまとめて「AI 検索」と呼ぶことはできます。しかし、同じ質問に対して同じページを情報源に選ぶとは限りません。
2026 年、これを大規模に測った査読済みの研究が複数出ました。結論から書きます。
この記事が直接答えられる範囲
★ 2026.08.55 でタイトルを変更し、射程を明示しました。 以前のタイトルは「ChatGPT に強いサイトは Google AI Mode にも強いのか」でした。読者の実際の問いはこれで合っています。 しかしこの記事が引く 3 つの査読済み研究は、いずれもその 2 つを直接突き合わせていません。
| 研究 | 実際に比較した対象 |
|---|---|
| Grossman ら | 従来の Google 検索 / AI Overviews / 検索グラウンディングを有効にした Gemini 2.5 Flash API |
| Kirsten ら | 従来の Google 検索 / AI Overviews / Gemini / GPT-4o Search / GPT-4o with Search Tool / Perplexity Sonar |
| Strauss ら | LMArena の検索対応モデルのログ(Gemini / GPT-4o / Sonar など) |
Google AI Mode を測定対象にした研究はひとつもありません。 ChatGPT の消費者向け検索 UI と AI Mode の間で「強さがどれだけ移るか」という比率も、ここには出てきません。
したがって、この記事が言える範囲はこうです。
- 言えること — あるシステムで情報源に選ばれやすいことが、別のシステムへそのまま移ると仮定する根拠はない
- 言えないこと — 「ChatGPT で強ければ AI Mode でも強い確率は ○%」
タイトルの問いへの答えは「重なりは ○% です」ではなく、「同じ強さが移ると仮定する根拠がありません」です。
結論:同じ Google の中ですら、情報源は一致しない
SIGIR 2026 に採択された研究 How Generative AI Disrupts Search(Grossman ら)は、11,500 クエリのベンチマークを作り、Google が提供する 3 つの検索・生成システムを比較しました。
OpenAI 対 Google ではありません。同じ提供元の中での比較です。
★ 何を測ったのかを 2026.08.55 で精密化しました。 以前は「Google 社内の 3 つの面どうし」と書いていましたが、ブラウザ上の 3 つの画面を並べたわけではありません。
| 収集方法 | |
|---|---|
| 従来の SERP | SerpAPI 経由(Newark, NJ のモバイル端末を模擬、1 ページ目のみ) |
| AI Overviews | 同上(生成された場合) |
| Gemini | Gemini API の Gemini 2.5 Flash。Grounding with Google Search を有効化 |
Using the Gemini API, we collect AI chatbot responses from the Gemini 2.5 Flash model. ... Grounding with Google Search is enabled so that the model will retrieve sources for each query. In alignment with AIO, the Thinking mode, typically used for complex reasoning tasks, is disabled. The input text consists of the given query from our dataset only, with no further prompting; no custom system instructions are added.
Gemini 側は消費者向けアプリではなく、API に検索グラウンディングを付けた構成です。 システムプロンプトは無く、Thinking も切っています(AI Overviews に条件をそろえるためです)。
「同じ Google ですら大きく違う」という結論は変わりません。 ただしこの数値を「Gemini アプリを開いたときに起こること」としては読めません。
結果として、取得された情報源の平均 Jaccard 類似度は 0.11〜0.18 でした。
Traditional SERP, Gemini, and AIO exhibit low average similarity in terms of the retrieved sources for each query (i.e., Jaccard similarities between 0.11 and 0.18).
論文自身がこう書いています。
the retrieved lists are dissimilar, despite all three being developed by Google
取得されたリストは互いに似ていない — 3 つとも Google が開発したものであるにもかかわらず、という意味です。
Jaccard 類似度とは
2 つの集合 A・B について、J(A,B) = |A ∩ B| / |A ∪ B| で計算します。
エンジン A が A / B / C / D、エンジン B が C / D / E / F を返したなら、共通は 2 つ、全体は 6 つで 0.333 です。1.0 なら完全一致、0 なら共通なし。
その中で 0.11〜0.18 です。 論文の言い方では、AI Overviews と従来の検索結果のどちらかが返す情報源のうち、両方に現れるのは平均 18% にとどまります。
ここで 2 つ、落としてはいけない条件があります。
- この値は URL 単位です。 ドメイン単位ならもっと高くなります
- 観測は 2025 年 12 月 7〜8 日の 2 日間です。 掲載は 2026 年ですが、測られたのは 2025 年のシステムです
「検索 1 位なら AI Overviews にも出る」は成り立たない
ACL 2026 Findings の Characterizing Web Search in the Age of Generative AI(Kirsten ら、Max Planck / ルール大学ボーフム)は、Google の従来検索と 5 つの生成検索システムを横断比較しました。
対象は AI Overviews、Gemini 2.5 Flash、GPT-4o Search、GPT-4o with Search Tool、Perplexity Sonar です。
on average 53% ( 27% ) of domains that AIO consults are not contained in top-10 (top-100) Organic search results.
AI Overviews が参照したドメインの平均 53% は従来検索の上位 10 件に無く、27% は上位 100 件にも無い。
重なりを直接見ても、AI Overviews のリンクと従来検索の上位 10 件の重なりは 50% 未満、上位 100 件まで広げても 60% 未満でした。Gemini と GPT-4o Search ではさらに低く、GPT-4o with Search Tool ではほぼゼロです。
ただし「SEO は無関係」でもない
ここで反対方向へ飛ぶのも誤りです。Google の公式ドキュメントは明確です。
To be eligible to be shown as a supporting link in AI Overviews or AI Mode, a page must be indexed and eligible to be shown in Google Search with a snippet, fulfilling the Search technical requirements. There are no additional technical requirements.
そして同じページにこう続きます。
Just because a page meets all requirements, best practices, and complies with the policies, doesn't mean that Google will crawl, index, or serve its content. Indexing and serving isn't guaranteed.
なお「追加の技術要件が無い」は「条件が無い」ではありません(2026.08.42 で追記)。 Google のもう 1 つの資料(生成 AI 向け最適化ガイド)は、Search の技術要件に加えて、サイトが Search Console で Search generative AI features に含まれている必要があるとしています。既定は「含める」で、除外すると生成 AI 機能でリンクされず grounding にも使われません(通常の検索結果には影響せず、一部のサイトへの段階的な提供です)。サイト側に新しい実装を求めないことと、掲載の可否を決める設定が別にあることは、両立します。
この 2 つは矛盾しません。分けるべきは適格性と選択です。
「1 位なら出る」は選択を適格性と取り違えています。「SEO は無関係」は適格性を選択と取り違えています。
取得するページ数からして違う
Kirsten らの研究で、同じクエリに対して各エンジンが平均何ページを参照したか。
| エンジン | 平均ページ数 |
|---|---|
| GPT-4o with Search Tool | 1 未満 |
| GPT-4o Search | 4 |
| Gemini | 9 |
| AI Overviews | 9 |
| Perplexity Sonar | 14 |
14 件を見る Perplexity が優秀、とも、少数精鋭の GPT が優秀、とも言えません。 論文はこれを効率と正確性のトレードオフとして整理しています。取得が少ないエンジンは静的な事実には正確に答えられる一方、時間に依存するクエリでは不正確になることがあるとしています。
同じ答えでも、同じ情報源とは限らない
さらに興味深いのは、取得量がこれだけ違っても話題の網羅度は概ね同等だったことです。
つまり 「同じ答えに到達した」と「同じ情報源を使った」は別です。
ChatGPT も Gemini も同じ結論を出しているのに、参照したサイトは違う。サイト運営者にとって重要なのは後者です。
「AI は権威のある大手サイトを好む」も一様ではない
Grossman らの研究で、方向としては通説と逆の結果が出ています。
Traditional Google search is significantly more likely to retrieve information from popular or institutional websites in government or education, while generative search engines are significantly more likely to retrieve Google-owned content.
従来の Google 検索のほうが、人気サイトや政府・教育機関のサイトを取りやすい。生成検索は google.com と youtube.com を有意に多く取る。差は McNemar 検定で有意です。
ただし Kirsten らの人気度の数値を見ると、同じ方向でも差の大きさは違います。
| エンジン | Tranco 上位 100 万に入る割合 |
|---|---|
| 従来検索 | 89% |
| GPT-4o Search | 86% |
| AI Overviews | 85% |
| Perplexity Sonar | 84% |
| Gemini | 83% |
| GPT-4o with Search Tool | 81% |
81〜89% で、差はそれほど大きくありません。 ところが順位の中央値で見ると景色が変わります。
- GPT-4o with Search Tool:中央値 1,124(従来検索の 2,352 より上位)
- Perplexity Sonar:中央値 5,647(最も人気度が低い)
同じ「人気度」でも、指標を変えると差の大きさが変わります。 一方をもう一方の要約として使えません。
情報源の種類にも差がありました。GPT 系は企業サイトと百科事典に強く依存し、ソーシャルメディアやユーザーフォーラムへの依存が小さい。 他のエンジンはそうしたサイトから最大 35% を取ることがあります。
ただしこれを「GPT はフォーラムを嫌う」という普遍的な規則へ変換してはいけません。 分類は LLM を判定器に使った推定であり、2025 年時点の観測です。
見えている引用は、エンジンが見た Web の全体ではない
Data & Policy(Cambridge University Press)に掲載された The Attribution Crisis in LLM Search Results(Strauss ら)は、LMArena の約 14,000 件の実利用ログから、参照した URL 数と引用した URL 数の差を測りました。
- Google Gemini の回答の 34%、OpenAI GPT-4o の回答の 24% が、明示的に外部コンテンツを取得せずに生成されている
- Gemini は回答の 92% でクリック可能な引用元を示さない
- Perplexity Sonar は 1 クエリあたり約 10 件の関連ページを参照しながら、引用は 3〜4 件
- 追加で 1 ページ参照するごとに増える引用数は、同じクエリでもモデル間で 0.19 から 0.45 まで開く
つまり 「引用が違う」から「取得も同じ割合で違う」とは言えません。
SILVE では、観測している層を宣言します。
| 層 | 何を見たか |
|---|---|
organic_result |
従来の検索結果 |
retrieved |
取得されたことが観測できた情報源 |
supporting_link |
回答に添えられたリンク |
cited |
回答中で引用された情報源 |
unknown |
判別できない |
引用しか観測していない研究から、内部の取得集合の全体を推定しません。
論文の用語と、実際に観測できた層を分ける
★ 2026.08.55 で追加しました。この記事は前半で自分の原則を破っていました。
Grossman らは自分たちが集めた一覧を retrieved sources と呼んでいます。論文の紹介としてその語を使うのは正しい。しかし外から観測できたのは、各面が利用者へ返した情報源の一覧です。
SerpAPI から取得できる AI Overviews のデータは、回答に添えられた supporting link の集合であって、Google が内部で候補として取得したページ集合の全体ではありません。 この記事の前半で「取得された情報源」と書いた箇所も、厳密にはこの層です。
Strauss らはさらに一段深い問題を示しています。見えている検索ログさえ、内部の取得の全体とは限りません。
The full extent of ecosystem exploitation may be underestimated because models appear to selectively disclose which websites they visit, especially GPT-4o models. ... Crucially, this selective log disclosure is itself a form of opacity that constitutes a distinct policy problem, because it renders independent auditing of attribution practices effectively impossible.
GPT-4o の「参照と引用がほぼ一致する」という結果を、著者らは帰属が優れている証拠とは解釈していません。 ログの絞り込み(aggressive log-filtering)の結果だとしています。
だからこの研究の数値は「34% が取得していない」ではありません。「公開されたログ上で明示的な取得が確認できなかったのが 34%」です。 SILVE ではこの観測層を retrieved ではなく、提供元が開示した検索トレースとして記録します。
観測層は 1 段ではなく 2 段で疑います。 引用は取得の全体ではない。そして開示されたログも、取得の全体ではない。
同じ Google でも、面が違えば別物
Google 自身がこう書いています。
AI Mode and AI Overviews may use different models and techniques, so the set of responses and links they show will vary.
また両者は Query Fan-out を使う場合があり、サブトピックとデータソースにまたがる複数の関連検索を発行します。ユーザーが 1 つ質問しても、エンジンが Web へ投げる検索は 1 つとは限りません。
AI Overviews の出現率自体もクエリ次第です。Grossman らの測定では、実ユーザーを代表するクエリ集合で 51.5%、ベンチマーク全体で 65.6%、ELI5 形式で 94.6%、Amazon の小売クエリで 17.4%、トレンドクエリで 8.1%、政治的クエリで 93.8%。
「AI Overviews の出現率は N%」を単一の数値として扱えません。
エンジン差を測る前に、同じエンジンの中でぶれる
これは見落とされやすい順序の問題です。
Grossman らは、同じクエリを同じ端末・同じ地域で 2 回実行したときの情報源の一致度も測っています。
| 平均 Jaccard | |
|---|---|
| 従来検索 | 0.78 |
| AI Overviews | 0.66 |
| Gemini | 0.46 |
比較可能なすべての組み合わせで、生成検索は従来検索より一貫性が低い。
Kirsten らは約 2 か月あけて同じ実験を繰り返しました(2025 年 7〜8 月と 9 月)。
when performing the same queries two months apart, only 18% of web pages were common between the two runs of AIO, whereas the overlap was 45% for Organic search.
5 分後・24 時間後という短い間隔でも、三択(肯定・否定・どちらでもない)の回答が最大 27%・28% のケースで反転しています。
つまり、1 回ずつ測って 2 つのエンジンを比べると、エンジンの差と、そのエンジン自身のばらつきを区別できません。
事業者の大規模データも同じ方向を示す — ただし同格には置かない
2026 年 7 月、Writesonic が 161,286 プロンプト(2026 年 5〜6 月)を分析した結果を公開しました。ChatGPT・Gemini・Perplexity・Google AI Overviews のドメイン単位の Jaccard 類似度は 0.119〜0.237、4 エンジンすべてが引用を返した 70,879 プロンプトで全エンジンに共通するドメインは 3.8% でした。
規模は大きく、方向も学術研究と一致します。しかし SILVE は学術研究と同格には置きません。
Writesonic は AI 検索の可視性追跡・最適化を販売する事業者であり、記事の著者は同社創業者です。 分析対象は同社のプラットフォームを通過したプロンプト、つまり自己選択標本です。そして「エンジンごとに情報源が違う」という結論は、同社の製品の必要性を直接支持する方向にあります。
これは数値を否定する理由にはなりません。記録しないまま「独立した調査」として扱わないための情報です。
粒度も違います。学術側の 0.11〜0.18 は URL 単位、この 0.119〜0.237 はドメイン単位です。 並べて「だいたい同じ」と書けません。
情報源が違うことは、仕組みが分かったことではない
ここが最も飛躍しやすいところです。
「ChatGPT と Gemini の重なりが 12% だった」という観測から、「ChatGPT は信号 X を、Gemini は信号 Y を重視している」とは言えません。
重なりの低さの原因になり得るものは、取得器・クエリの書き換え・索引・再ランキング・文脈への割り当て・引用の選択・モデル・その時点の Web の状態と、いくつもあります。外から見た重なりだけでは、どれがどれだけ効いたかを特定できません。
重なりは差を示します。仕組みは示しません。
したがって SILVE では、こう分けます。
- 言えること — プラットフォーム別に可視性を測る必要がある
- 言えないこと — どのプラットフォームにどの施策が効くかを、重なりの値から導く
一つのブロック設定が、別の面に効いていた例
Grossman らの研究で、因果とは言えないが重要な観測があります。
Google 検索と AI Overviews の双方が 20 以上のクエリで取得していた著名な発行元 21 件が、Gemini から一度も引用されませんでした。 Facebook・Instagram・TikTok などのソーシャルメディア、IMDb・Yelp・Tripadvisor などのレビューサイトも、Gemini からの引用がゼロです。
これらはすべて robots.txt で Google-Extended をブロックしていました。
さらに論文は、Google の AI クローラーをブロックしているサイトは、AI Overviews がコンテンツにアクセスできるにもかかわらず AI Overviews から取得される可能性が有意に低いと報告しています。
ここで慎重になるべきです。これは相関であって因果ではありません。 Google-Extended をブロックしているのは大手発行元やソーシャルメディアに偏っており、ブロック以外の理由で取得されにくい可能性を排除できていません。
★ ここに誤りがありました(2026.08.55 で訂正)。 以前は「Google は Google-Extended のブロックが検索順位に影響しないとしている。その説明と本観測は矛盾しない(対象が検索順位ではなく AI Overviews の取得だから)」と書いていました。これでは Google-Extended が AI Overviews の取得を制御しているように読めます。制御していません。
Google の公式仕様で Google-Extended が制御するのは次の範囲です。
Google-Extended is a standalone product token that web publishers can use to manage whether content Google crawls from their sites may be used for training future generations of Gemini models that power Gemini Apps and Vertex AI API for Gemini and for grounding ... in Gemini Apps and Grounding with Google Search on Vertex AI. Google-Extended does not impact a site's inclusion in Google Search nor is it used as a ranking signal in Google Search.
AI Overviews と AI Mode は Google 検索の機能です。 アクセスの制御は Googlebot、掲載の可否は Search Console の生成 AI 掲載設定であり、どちらも Google-Extended ではありません(クローラの記事が正本で、そちらでは以前から正しく書いていました)。
論文自身も同じことを書いています。
Google further clarifies that this will not affect a websites' ranking in Google Search results, nor does it impact the AIO's access to this content.
both Gemini and AIOs are significantly less likely to retrieve content from websites blocking the Google-Extended crawler, despite AIOs technically having access to this content
したがってこの観測は「Google-Extended のブロックが AI Overviews の取得に作用した」ではありません。 Google-Extended をブロックするという選択と相関する発行元の側の性質が効いている可能性を含んだ、相関の観測です。
なお論文は無統制ではありません。 Tranco 順位のビンと 17 の Cloudflare ドメイン分類を入れた線形確率モデル(クエリ固定効果・クラスタ標準誤差)で推定しています。それでも観測研究であり、公式仕様上そもそも参加の制御ではない以上、機構としては読み替えません。
SILVE はこの観測を根拠に crawlability の採点を変えていません。 公式仕様上、Google-Extended は AI Overviews への参加を制御するものではないからです。介入を伴う研究が出たとき、または公式仕様が変わったときに再評価します。
OpenAI 側の適格性
OpenAI の公式ドキュメントはこう書いています。
OAI-SearchBot is used to surface websites in search results in ChatGPT's search features. Sites that are opted out of OAI-SearchBot will not be shown in ChatGPT search answers, though can still appear as navigational links.
「許可すれば表示される」とは書かれていません。「拒否すれば表示されない」です。 robots.txt の更新が反映されるまで約 24 時間かかるとも書かれています。
ChatGPT はプロンプトをそのまま検索していない
★ 以前ここには「根拠とされるヘルプ記事が 403 を返し、本文を確認できなかった」と書いていました。 403 は取得側の問題であり、記述が存在しない証拠ではありません。 取得手段を変えたところ現在は一次資料で確認でき、2026.08.55 で確認済みへ更新しました。
To provide relevant responses to your questions, ChatGPT search sometimes partners with other search providers. When it does, ChatGPT search typically rewrites your query into one or more targeted queries that it sends those providers.
利用者が 1 つ質問しても、Web へ投げられる検索は 1 つとは限りません。 Google の Query Fan-out と同じ方向の設計ですが、別の提供元の別の実装です。一方の仕様をもう一方へ一般化しません。
いずれにせよ Query Fan-out の記事の原則がここでも効きます。自分のページがどの検索語で拾われたのかを、利用者のプロンプトから推定できません。
では「一つの GEO」は間違いなのか
ここまで読むと、エンジンごとに別々の施策を作るべきに見えます。しかしそれも違います。
少なくとも Google については、提供元自身が明確に否定しています。
You don't need to create new machine readable files, AI text files, or markup to appear in these features. There's also no special schema.org structured data that you need to add.
そのうえで、robots.txt と CDN でクロールが許可されていること、内部リンクで見つけやすいこと、重要なコンテンツがテキストで利用できること、構造化データがページ上の見えるテキストと一致していること、Merchant Center と Business Profile が最新であることといった既存の基礎が引き続き有効だとしています。
同じ内容の記事を 4 本作れば、重複という別の問題を作るだけです。
分けるのは施策ではなく測定
SILVE の整理はこうです。
共通の基盤(一度だけ採点する)
- クロールできる / インデックスできる
- 主題が明確である
- 事実が正確で、エンティティ情報が一貫している
- 重要な内容がテキストで存在する
- 独自の情報がある
プラットフォーム別の観測(別々に測る)
- ChatGPT の言及 / 引用
- Google AI Overviews の supporting link
- Google AI Mode の supporting link
- Gemini の引用
- Perplexity の引用
基盤は共有する。測定は分ける。 これが現時点で最も安全な立て方です。
平均は差を消す
AI Visibility = 68 という表示は、全プラットフォームで安定して 68 なのか、ChatGPT 100 / Gemini 20 / Perplexity 84 なのかを区別しません。
SILVE では、プラットフォーム別の値を正本とします。 統合スコアを作る場合も派生値として扱い、内訳を保持します。
そして 準備状態の信号は一度だけ採点します。 「4 エンジンに対応」を 4 倍の配点にしません。
「証拠が無い」を「効果が無い」と書かない
最後に一つ。
「この施策は ChatGPT では証拠が無い」は、「ChatGPT では効かない」ではありません。
unknown— そのエンジンで試していないnot_supported— 試したが再現しなかった
この 2 つを同じ表示にしません。
同様に、ある施策の効果がプラットフォームをまたいで移るかどうかは、前提ではなく測定の結果として扱います。ただし施策の前後を比べただけでは因果とは言えません。プラットフォーム自体が動いているからです。 これは別の記事で扱います。
まとめ
- 同じ Google の 3 つの面ですら、取得される情報源の Jaccard は 0.11〜0.18(URL 単位、2025 年 12 月の観測)
- AI Overviews が参照したドメインの 53% は従来検索の上位 10 件に無い
- 取得ページ数は 1 未満から 14 まで、5 倍以上の開きがある
- それでも話題の網羅度は概ね同等。「同じ答え」と「同じ情報源」は別
- 見えている引用はエンジンが見た Web の全体ではない(Gemini は 92% の回答で引用元を示さない)
- エンジン差を測る前に、同じエンジンが同じ条件で 0.46〜0.78 しか一致しない
- 重なりの低さは差の証拠であって、順位付けの仕組みの証拠ではない
- Google は特別なファイルもマークアップも不要だと明記している
- Google-Extended は AI Overviews / AI Mode への参加を制御するものではない(学習と Gemini Apps / Vertex AI の grounding の制御)
- ここで引く研究のどれも、ChatGPT の消費者向け検索 UI と Google AI Mode を直接比較していない
基盤は共有する。測定は分ける。 AI 検索は一枚の順位表ではなく、重なりを持ちながら一致しない複数の情報源の生態系です。
Framework Record
この記事の判断を、あとから検証できる形で記録したものです。本文の結論(Core Rules)と、SILVE が内部で持つ記録の項目、参照した一次資料が入っています。
Framework Name: Cross-Engine Source Ecosystem Separation
Version: Methodology 2026.08.55
Status: SILVE Operational Framework(業界標準の手順ではない)
Last Verified: 2026-08-13
実装: 未実装(VISIBILITY_VECTOR.md の実装前提条件に加える)
記録する軸
面 — 提供元 / プラットフォーム / product / エンジン / mode / model / measurementDate / ロケール
観測層 — sourceObservationLayer(organic_result / retrieved / supporting_link / cited / unknown)
粒度 — sourceGranularity(domain / url)
重なり — 計算方法(jaccard 等)/ 値 / 方向別の値(A→B と B→A)
適用状況 — platformApplicability(established / plausible / unknown / not_supported)
利害 — interestDisclosure(commercial / advocacy / stakeholder)
Core Rules
- AI 検索 ≠ 一つのエンジン
- 同じ提供元 ≠ 同じ情報源
- 同じプロンプト ≠ 同じ検索
- 従来の検索結果 ≠ AI の supporting link
- 取得 ≠ 引用
- ドメイン単位の重なり ≠ URL 単位の重なり
- 回答の一致 ≠ 情報源の一致
- 適格性 ≠ 選択
- 観測された情報源の差 ≠ 順位付けの仕組みの解明
- 一つのエンジンでの効果 ≠ 全エンジンでの効果
- 情報源が違うこと ≠ 記事を分けるべきこと
- 共通の基盤 ≠ 共通の結果
- 証拠が無い ≠ 効果が無い
- 事業者の大規模監査 ≠ 独立した学術研究
- 2025 年の観測 ≠ そのエンジンの恒久的な性質
- 論文の用語(retrieved sources)≠ 外から観測できた層
- 提供元が開示した検索ログ ≠ 内部の取得の全体
- 学習・grounding の制御トークン ≠ 検索面への参加の制御
重要な限定
本記事が引く 3 つの査読済み研究は、いずれも 2025 年に測定されたものです。 掲載年は 2026 年ですが、対象は当時のモデル・インターフェース・Web の状態です。
生成検索のシステムは速く変わり、情報源の生態系そのものも動きます。したがって個々の重なりの数値は研究固有の測定値として扱い、「情報源の選択がプラットフォームに強く依存する」という方向性のほうを、複数の独立した研究設計から支持されている結論として扱います。
そして測定対象の限定を落としません。 3 つの研究のいずれも Google AI Mode を測定していません。 Grossman らの Gemini は消費者向けアプリではなく、検索グラウンディングを有効にした Gemini 2.5 Flash API です。Strauss らの観測環境は LMArena であり、各サービスの通常の利用環境ではありません。
「AI 検索ごとに情報源が違う」は 3 つの独立した設計から支持されています。 一方、特定の 2 製品の間で強さがどれだけ移るかは、ここでは測られていません。
一次資料
- Grossman, Liu, Chen, Smith, Borcea & Chen — How Generative AI Disrupts Search: An Empirical Study of Google Search, Gemini, and AI Overviews(SIGIR 2026、arXiv 2604.27790、観測は 2025-12-07〜08) https://arxiv.org/abs/2604.27790
- Kirsten, Grosse Perdekamp, Wu, Upadhyay, Gummadi & Zafar — Characterizing Web Search in the Age of Generative AI(Findings of ACL 2026、arXiv 2510.11560、観測は 2025 年 7〜9 月) https://arxiv.org/abs/2510.11560
- Strauss, Yang, O'Reilly, Rosenblat & Moure — The attribution crisis in LLM search results: Estimating ecosystem exploitation(Data & Policy, Volume 8, 2026, e15、DOI 10.1017/dap.2026.10064、オンライン公開 2026 年 4 月 28 日) https://doi.org/10.1017/dap.2026.10064 ★ 2026.08.55 で全文確認へ更新しました。 以前は「abstract のみ確認」としていましたが、現在は Cambridge University Press で全文がオープンアクセスで公開されています。 利害の記録: AI Disclosures Project による研究で、論文自身が透明性に関する政策提言を結論としています。
- Google Search Central — AI features and your website https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features
- OpenAI — Overview of OpenAI Crawlers https://developers.openai.com/api/docs/bots
- OpenAI Help Center — ChatGPT Search(2026.08.55 で取得手段を変えて確認。以前は 403 で確認できないとしていた) https://help.openai.com/en/articles/9237897-chatgpt-search
- Google Crawling Infrastructure — Google common crawlers(Google-Extended の適用範囲) https://developers.google.com/crawling/docs/crawlers-fetchers/google-common-crawlers
- Samanyou Garg(Writesonic)— Do AI Engines Cite the Same Sources? A Study of 161,286 Prompts https://writesonic.com/blog/ai-citation-source-overlap-study 利害の記録: Writesonic は AI 検索の可視性追跡・最適化を販売する事業者で、著者は同社創業者です。査読なし・自己選択標本のため、学術研究と同格には扱っていません。
AI OverviewsAI ModeGeminiChatGPTPerplexity情報源Jaccard
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